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日本企業が知るべきインドEV市場の現実と課題

  • Writer: ラジャ・ゴピナート
    ラジャ・ゴピナート
  • Jan 13
  • 6 min read

Updated: Jun 5

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インドの電気自動車(EV)市場は、今や世界中で注目される成長分野の一つです。インド政府が掲げる「持続可能な未来」を目指す政策や、消費者の新しい動きが、この市場の拡大を後押ししています。しかし、インドEV市場の現実は、数字だけでは見えない複雑さに満ちています。現地の空気を感じることが、この市場を理解するための重要なポイントです。このブログでは、インドEV市場、インド充電市場、インド充電ステーションの状況を体験を交えながら掘り下げていきます。


インドEV市場の知られざる現実


1. 成長の裏にある「価格感覚」

インドでのEV普及において、価格は非常に重要です。現地の人々に話を聞くと、「EVには興味があるけど、内燃機関車(ICE)より高いなら買わない」という声が多く聞かれます。特に四輪車市場では、数万ルピー(10万円以下)の価格差が購入の決め手になることもしばしばです。ブランドの信頼性よりも「値段」が優先されるインド市場では、日本メーカーにとってこれが大きな壁の一つです。


2. 充電インフラ:データと現地のギャップ

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インドでは、充電インフラの整備が急務とされていますが、現実はまだ発展途上です。デリーやムンバイなどの都市部では急速充電ステーションが増えていますが、地方では充電施設がほとんどない場所も多いです。例えば、南インドのチェンナイ近郊の小さな町では、EVオーナーが「充電するために大都市まで行く必要がある」と話していました。こうした状況は、地方部でのEV普及を妨げる要因ですが、逆に地域ごとのターゲット顧客や商品仕様を考えるヒントにもなります。



3. 政策の恩恵と複雑さ

インド政府は「FAME II」などの政策で、EV購入補助金や税制優遇を提供しています。この政策を上手に活用している企業の一つがタタ・モーターズで、国内市場で成功を収めています。しかし、インドは28の州がそれぞれ異なる規制や税制を持つため、全国で統一した戦略を取るのは簡単ではありません。以前、日本メーカーの担当者が「インド全土で同じビジネスモデルを展開するのは本当に大変だ」と苦笑いしていたことが印象的です。

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4. 電動二輪車・三輪車が市場をけん引

インドでEVと言えば、電動二輪車や三輪車が主流です。これらの車両は価格が手頃で、短距離移動に最適なため、急速に普及しています。デリーで出会った電動リキシャー(e-rickshaw)の運転手は、「運用コストがとても低いから、すぐに元が取れる」と語っていました。一方で、四輪車市場はまだ発展途上で、高価格モデルが中心となっています。インドEV市場で成功するには、用途、移動距離、コストに合わせた商品戦略が必要です。ただ、表面だけをみていきなり手頃な価格の小さな電動4輪車を作るのは大間違いと思います。


その他の市場課題…


  1. 多様な地域市場: インドは、一つの国だけど、州ごとに文化や需要、規制が全然違います。北部と南部では消費者の好みもかなり違うので、製品戦略も地域ごとに合わせる必要があります。たとえば、ある州では小型車が主流でも、別の州ではSUVが人気だったりするんですよね。こういった違いを踏まえた柔軟なアプローチが大事です。


  1. 現地の競争:インドでは地元の自動車メーカーだけでなく、こっそり4輪市場にも注目しているOla ElectricやAther Energyみたいなスタートアップが急成長していて、価格競争や技術革新をどんどん進めています。これらの企業は、インド市場に特化した製品を展開しているので、グローバルメーカーにとっても強力なライバルになっています。現地の状況をしっかり理解しないと、この競争に勝つのは難しいかもしれませんね。


  2. 消費者教育の必要性: インドでは、EVの便利さやメリットがまだ十分に知られていないこともあります。ハイデラバード市の人にEVについて聞いたとき、「充電に何時間もかかるならガソリン車のほうがいい」なんて誤解している人も多いんです。でも、「夜に家で充電すればガソリンスタンドに行かなくてもいいんだよ」って話したら、相手が「あ、そうなんだ!」って驚いて感心してたこともありました。こういった誤解を解消していく消費者教育が、普及のカギになると感じています。



日本メーカーが進むべき道・戦略


あくまで個人のリサーチに基づいた的な意見ですが、インドでEV市場を掴むための短期的な戦略を考えてみました。


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まず、インドには環境を意識している若者も多い割にICEより価格が少しでも高いと、EVを買いません! 日本企業の初期のターゲットは、すでに競争が激しくなっている地元メーカーが狙ってる「一般」層は避けるべきです。注目すべきターゲット顧客は、「ICEより高くても近距離を快適に走れる静に瞬間的に反応する車」を求めてる人たちです。日本企業はインドでのインフラの構築と独立し、家で充電する前提で考えるべきです。こういう人たちは、EVをセカンドカーとして使う可能性が高くて、Early Adopterになると思います。この層をつかむのが、インドでEVを広めるための一番大事なステップです。あくまで短期戦略です。

インドEV市場、インド充電市場、インド充電ステーションの発展は、グローバルにとっても注目の的です。しかし、その複雑さを理解し、地域に合わせた戦略を構築することが日本企業にとって成功の鍵となります。私自身、現地でのリサーチや体験を通じて、この市場のポテンシャルと課題を実感してきました。


個人的に強く感じるのは、データだけじゃわからない、現地の消費者心理や市場の動きが最終的な結果を大きく左右するってことです。日本の高品質な製品が、インドのニーズに合った形で展開できれば、すごく大きなチャンスがあると思います!


インド市場での成功を目指す日本企業の方、一緒に具体的な戦略を考えてみませんか?気軽にご相談ください!



2025年4月追記:トランプ関税とリスク分散


最近またトランプ氏の再登場で、「日本に対する関税どうなるの?」という空気がジワジワ出てきています。もし関税強化が現実になれば、アメリカ市場に依存している企業ほど、ダメージは大きいと思います。


だから今こそ、リスク分散としてインド市場にちゃんと向き合う時期じゃないかなと感じています。インドは人口もマーケットも圧倒的で、生産拠点としてもアリです。関税でアメリカが揺れるなら、こっちはインドで攻める。そんな動きが今後もっと必要になるかもしれません。


スズキのように早いタイミングで現地化して成功してる事例がある以上、今動くかどうかで5年後の差がつくのは明らかです。アメリカでちょっと不安だなと感じたら、インドを次の柱として一度真剣に考えてみるのはアリだと思います。


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